本場イタリアでサラミ作りを見てきました。
イタリアでのサラミ作り。
わたしがイタリアで住んでいたVeneto(ヴェネト)州のMontebelluna(モンテベッルーナ) という小さな街。
大家さんのエンリコは牛、豚、鳥、野菜全て育てています。
四季あるその土地で 一年を通してさまざまな食材に触れる機会に恵まれ学ばせてもらえたけど。
その中でも特に一番目にしないといけなかったことはこのことだったんじゃないかなと思っています。
イタリア一般家庭でのサラミの作り方
毎年12月に入ってからすぐの週に豚をつぶして 一家総出でサラミづくりをします。
実際に豚を潰した時や解体作業の写真もあるのだけど ブログ的に掲載していいのか微妙なところなので ここでは控えます(私のinstagramをさかのぼっていただければ見れます)。
初めて豚をつぶすのを目の当たりにした時の衝撃。
豚のうめく声、
足をチェーンでしばり持ち上げる、
額からから血を抜く。
「こわい、かわいそう」
目を瞑りたくなる光景。
でもそんな自分の気持ちを掴んで心が逃げないようにする。
目を背けてはいけない。
わたしはこの命をいただいているのだから。
豚が完全に息を引き取るまでの間、真横でそれを見ていて自然と体に力が入ります。
痛い、苦しいだけでなく 彼らにも感情があるんだということが伝わってくるような瞬間でもありました。
ここから具体的な作業に入っていきます。
潰した豚の毛を処理する作業。
蒸気のようなものをあてて毛を剃っていきます。
さっきまで苦しんでいた豚が安らかそうに眠っている、という表現をしたくなるけれどそれもまた自分都合の解釈なのかもしれないな、とか。
毛を剃った豚の頭を取り 体を吊り下げる。
体の部分、お腹を開き内臓類を取る。
ここから部分ごとに解体。
豚を潰し解体作業など、サラミ作りは力作業になるので主に男性の仕事とされています。
解体後はまたそれぞれの担当に分かれます。
パンチェッタ担当。
豚バラブロック肉を塩漬けにします。
サラミとソプレッサ担当は大家さんのエンリコ。
ソプレッサとは サラミの一種でヴェネトのサラミです。
何が違うかといえば一般的に日本人がイメージしているサラミよりもっと太くて中はしっとりしていながら肉肉しい。
挽いた肉に25パーセントの塩と、ワインと胡椒は目分量で加えて混ぜているそうです。
女性は力作業以外で。
彼女は肉挽き担当。
コテッキーノ担当。
コテッキーノとはこれもサラミの一種、豚の皮や脂などのゼラチン質を混ぜ込んで腸詰めしたもの。
食べる時は茹でてから頂きます。
腸詰めされたサラミ、ソプレッサとコテッキーノを吊るす担当。
当日は早朝8時からの作業で10時過ぎに食事休憩。
彼女が作っているのはヴェネト州の郷土料理 フェガートアッラヴェネチアーナ。
よく炒めたタマネギと干しぶどうを加えたものに レバーを合わせます。
ニラレバを少し甘めにしたような味付けに近いかも。
使うレバーは先ほどさばいたばかり。
さぁお食事、みんなで頂きます。
朝だけど テーブルにはお水やジュースなどのノンアルコールだけでなくしっかりワインもスタンバイ。
意外かもしれないけど、カジュアルな場であればイタリア人はワインをお水や炭酸水で割ったりして飲みます、酔い防止も兼ねて。
そうそう、この食事の取る時間帯には、先ほど解体した肉を挽いて味付けしたものを少し休ませるという意図もあるようです。
作業再開。
全体図はこうなっている。
サラミ作りは丸二日かけて行われます。
あとは乾燥と熟成を待つのみ。
私はこの経験を通して自身が感じたことサラミの作り方は以外の部分、要はもっと本質的なところで何を情報発信したかったんだろう。
改めて当時のinstagramを振り返ってみます。
『健康上の理由 宗教上 環境問題 経済的な動向 動物愛護という観点 いろいろな意見を持って肉を食べない人もいる。
体のこと宗教上でそれを選ぶなら多少なり個人的な事情や意向があるにしても 他の概念的なことに賛同せず食肉を生産してそれを食べる人達は悪になってしまうのか?
わたしは肉も食べるし頻度はさておきそれを絶つ予定は今のところない。この日 見ないといけないモノを自分の目で見た。
連日の写真で自分に記録したかったことって本当はなんだったんだろう。
鮮度のいいお肉で手作りする安心な加工品 家族の繋がりバンザイってこと ただそれだけではもちろんないんだと思うけど。』
今になってもやっぱりそのこと以上の言葉や表現が浮かびません。
イタリア人が自宅でサラミを保管する方法
私達夫婦が住んでいた場所は エンリコの家の敷地内にありました。
アパートでもなくマンションでもなく 日本でいうところの 一応戸建てというのかな?で、部屋のすぐ下にカンティーナがあってそこにサラミを乾燥させいました。
カンティーナの中は夏でもひんやりしていて(イタリアのお家はだいたいそうなんだけど 地下はさらに涼しい)、保管するには環境がいいのです。
サラミにはうっすらと白いカビが発生するけれどそれは良いカビなので大丈夫。
豚一頭からつくられるサラミは何本くらいかな50とか60くらいかな?計算したことはないけど 家族総出で作って次の冬までの一年 家族ごとに分けて大事に頂きます。
彼らは家族や親戚で集まる時にその保存食としてのサラミをみんなで味わっていました。
そういうことも知っていたし サラミ作りの工程を見させてもらったからこそ 自家製のサラミがただの保存食でないことは理解していました。
それなのに エンリコは私達にもそんな貴重なモノをおすそ分けしてくれました。
彼が手に持っているのがソプレッサ、手前の細みのものがサラミ。
個人的にはソプレッサの方が好き。
最初食べたときはものすごく驚きました。
旨みとしっとりしたでもまさに肉を食べているという食感は イタリアのどこで食べたサラミよりも美味しかったのです。
聞いたところによると彼は昔 地域のサラミ作りのコンテストで賞をもらったことがあるんだそう。
あァ、こう書いているとソプレッサが食べたくなる気持ちより エンリコの存在が恋しく思えてきます。
81歳になった彼に はやく我が息子を見せに行かなきゃなぁ。
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